農薬不使用ササニシキができるまで【耕起・肥料散布】
農薬・化学肥料を使用しない田んぼでは、前年の稲藁を田んぼにすき込むことで新しい稲の栄養源にしたり、化学合成されていない有機質肥料や天然の資材を散布したりしています。藁をすき込んだり肥料を土に混ぜたりするため、また田んぼに水を入れたときに土と水がなじみやすくするために行う作業が「耕起」です。トラクターの後ろにロータリーと呼ばれる作業機をつけて田んぼを耕す作業で、耕起・耕耘(こううん)・田ぶちとも言います。
無肥料自然栽培米では肥料を一切入れず、前年に田んぼで育った稲の藁だけが新年度の稲の栄養源です。
稲藁のような生の有機物はそのままでは稲に利用されないので微生物に分解してもらい、稲が利用しやすい形の栄養分になる必要があります。耕起で稲藁と土を混ぜることで土壌微生物による分解が進みます。
ただし、土壌微生物の中には酸素が吸えるところで活動する好気性の微生物もいれば、酸素が無いほうが活動できる嫌気性の微生物、その間の特徴を持ったものなど様々な微生物がいて、自然の状態で稲藁があるのは土壌の表面ですので、藁が土と混ざることを意識しつつもあまり深くまで耕さないように気をつけています。田伝むしの耕起の目安は深さ約10㎝です。
土に恵まれているのか、長年農薬・化学肥料不使用栽培をして微生物の量や種類が増えているのか、田伝むしの田んぼでは無肥料自然栽培でも毎年7俵程度お米を収穫できています。この栽培方法の持続する仕組み、循環する仕組みを知りたいと思っています。まずはいつもお米を収穫できることに感謝です。
田んぼによっては無肥料だと収量が2,3俵になるという話を聞いたことがあります。条件によって栽培方法を考え手をかけることも必要だということですね。
田伝むしでは田んぼごとに稲の生育や収量などを見て有機質肥料や天然の資材を散布している田んぼもあります。特別栽培米として販売しているササニシキで、これも農薬・化学肥料不使用であることは変わりません。
有機質肥料は菜種粕を使っています。青森県のNPO法人菜の花トラストin横浜町さんの菜種粕で、こちらも菜種も栽培中は農薬・化学肥料不使用です。有機質肥料として窒素という栄養分の補給を目的にしています。
また、天然の資材として使っているのはソフトシリカです。シリカは「ケイ酸」という成分のことで、このシリカを主成分に多くのミネラルを含んだ土由来の資材で化学的に作られたものではありません。稲は「ケイ酸植物」と呼ばれるほどケイ酸を吸収して、その結果光合成を活発にしたり病気に強くなったりすると言われています。
なるべく自然の環境を壊さないように意識しながら耕起し、必要だと思われるものは原料をよく見極めて田んぼに補給するようにしています。
2017-01-22 | Posted in 田伝むしの農作業 | No Comments »